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アクア・トト ぎふ

今夏、開館20周年!河川環境を楽しく学ぼう♪

アクア・トトのクラゲ
(画像提供:アクア・トト ぎふ)

イチオシイベント 開催中~24/7/7(日)

クラゲに夢中!〜きっとあなたも、好きになる♡〜

クラゲ飼育の歴史をけん引してきた水族館のひとつ、新江ノ島水族館とコラボレーション!個性豊かなクラゲの世界をご紹介♪

クラゲの世界を紹介する、開館20周年特別企画展開催中!また、コツメカワウソのこどもや、カピバラのもぐもぐタイムも人気♪

カピバラもぐもぐタイム

カピバラが牧草を食べる様子や歯などを目の前で観察できます。完全事前予約制です。

アクア・トトぎふで人気のカピバラ
人気者 カピバラ アマゾン川流域にすむ、世界最大級のネズミ。
木の葉や水中の草などを食べます(画像提供:アクア・トト ぎふ)

バックヤードツアー

普段見ることのできない裏側をスタッフが案内してくれます。

開催日/土・日曜・祝日(24/4/27〜5/6は毎日開催)
時間/11:00~、14:00〜(各40分)
受付方法/当日9:30から1階インフォメーションにて受付
料金/1名500円(入館料別途)
対象年齢/3歳以上(小学生以下は保護者同伴)
定員/各回先着10名様

アクア・トトぎふ「バックヤードツアー」
水族館の裏側を見学できる!(画像提供:アクア・トト ぎふ)

体験&イベントをご紹介してくれたのは…

アクア・トト ぎふ/スタッフ/津々木 匠さん

様々なイベント、新規展示を準備中です!


木曽川で生息が確認された「イタセンパラ」から命のつながりを考える

アクア・トトぎふで展示されているイタセンパラ
期間限定展示 イタセンパラ コイ目 コイ科 タナゴ属。国の天然記念物で、環境省のレッドリストとして絶滅危惧IA類に指定されています。日本固有種で、濃尾平野、富山県氷見市、大阪府の淀川でしか生息が確認されていません(画像提供:アクア・トト ぎふ)

環境学習の場として、また、希少種保全水族館として活動している「アクア・トト ぎふ」

世界淡水魚園水族館「アクア・トト ぎふ」は木曽三川・長良川の源流から河口までと、世界の淡水魚をテーマにしている水族館です。また、開館当初からイタセンパラやメコンオオナマズなどの希少種の保全にも取り組まれており、国の「希少種保全水族館(希少種保全動植物園等)」に認定されています。

イタセンパラはタナゴの仲間で、かつては濃尾平野一帯に生息していた身近ないきものでしたが、1995年(平成7年)に国内希少野生動植物種に指定され、2000年代に入ってからは捕獲情報がありませんでした。
今回、「アクア・トト ぎふ」によるイタセンパラの保全活動に注目し、保護・増殖活動を続けている理由と何か私たちにできることはないか、館長の池谷幸樹さんにお話を伺いました。

イタセンパラの発見から保護まで

イタセンパラは環境省のレッドリストとして絶滅危惧IA類に指定されています。2000年代からの捕獲情報はなかったものの、捕獲できないことがいないことの証明にはならないため完全に「いない」と言い切ることはできない状況でした。
このような状況の中、2005年(平成17年)に「アクア・トト ぎふ」のスタッフが木曽川で別の魚の捕獲をしていたところ、偶然、投網にかかった1尾(別日にもう1尾)のイタセンパラを発見されたそうです。
天然記念物のため、その場で捕獲することはできません。撮影だけして、木曽川へリリースしましたが、まだ木曽川にイタセンパラが生息していることを確認することができたのです。

そこで、同館のスタッフは「岐阜県水産研究所」のスタッフと共に、今後の保全活動について環境省へ相談に行きました。天然記念物にも指定されているので、保全活動には文化庁の許可も必要です。そのため、両省庁にご理解いただいて捕獲の許可が出るまでにとても長い時間がかかったそうです。

その間に、いくつかの事件やできごとがありました。2009年(平成21年)にイタセンパラを含む希少種の売買をしていた密漁者が逮捕され、2010年(平成22年)には生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が愛知県名古屋市で開催されました。生物多様性保全の機運が高まる中、2010年秋、「アクア・トト ぎふ」は捕獲許可を得て、イタセンパラの保全活動を始められました。

未来のための「ほったらかし」。多様な遺伝子を残すための飼育、増殖方法

水族館では一般的に、いきものを屋内で飼育しますが、「アクア・トト ぎふ」では捕獲したイタセンパラを屋外で飼育します。これは、生息地と同じ環境下で育てるため。「アクア・トト ぎふ」は木曽川沿いにあり、生息地とほぼ同じ天候・気候の中で育てることができます。イタセンパラは夏の暑さや冬の寒さに耐えながら、時には豪雨に打たれながら生きます。

繁殖だけの目的なら屋内飼育がベストになりますが、変化の少ない守られた環境で育った遺伝子が残ってしまうため、もし将来、自然の中へ還すことを考えると、過酷な環境で生きていくことが難しくなってしまいます。過度に人の手を加えない方法で飼育し、厳しい環境下で耐えられる遺伝子を残さなければ、命をつないでいくことができなくなってしまう可能性があります。

屋外で飼育しているとは言っても、毎年、同じ場所で繁殖を続けていると遺伝子組成が単純化してしまいます。今後、どんな遺伝子が生き残るのかはわからないため、極力、多様な遺伝子が必要になります。そこで、関係省庁や複数の水族館動物園、岐阜県水産研究所と協力をして、時おり親魚の交換をしながら繁殖に努められています。

記憶に残していくことも大切な役割

2009年に密漁事件が大々的に報道された時、池谷さんは一般の方から「イタセンパラなら、うちの裏の川にも生息しているよ」と、何件も報告を受けたそうです。しかし、確認した魚はすべてタイリクバラタナゴだったとのこと。同じタナゴの仲間であり、姿は似ていますがこの時、池谷さんは記憶がすり替わっていることに危機感を抱き、命をつなぐためには人の記憶にもイタセンパラを残す必要があると感じたそうです。

そこで、「アクア・トト ぎふ」では繁殖した一部のイタセンパラを毎年、10月〜5月頃まで特別展示します。リアルなイタセンパラの姿を見てもらうことで、形や色、生態、保全活動について知ってもらうきっかけになるからです。

繁殖期にあたる9月、10月頃はオスの体に紫色の婚姻色が出現し、最も美しい姿になります。機会があればぜひ、美しいイタセンパラの姿を見て欲しいそうです。

アクア・トトぎふのイタセンパラの展示風景
毎年、繁殖したイタセンパラを、繁殖期が終わる春頃まで展示中!(©️SAKURA編集部)

イタセンパラのゆりかご、タテボシガイをご紹介

日本でイタセンパラの生息が確認できている地域は濃尾平野のほかに、淀川(大阪府)と氷見の農村地帯(富山県)の合計3箇所しかありません。寿命は一年ほどで、9月〜11月頃に繁殖期を迎えたメスはタテボシガイなどの二枚貝に産卵し、オスはそこに放精をした後、ともに一生を終えます。稚魚は貝の中で過ごし、翌年の5月頃、貝から稚魚が出てきて成長し、その年の秋に繁殖します。

イタセンパラにとってタテボシガイはゆりかごのような存在で、タテボシガイがいないと生きられません。反対に、タテボシガイにとってイタセンパラは寄生虫のような存在です。イタセンパラを追い出そうと吐き出しますが、その吐き出す力に耐えながらイタセンパラは適応してきました。イタセンパラとタテボシガイは互いに影響を及ぼしながら進化(共進化)してきました。

そのため、イタセンパラが減少した理由の一つに、タテボシガイの減少が考えられます。水質の悪化よりも、タテボシガイの生息地となる「氾濫原環境」の減少が影響しているとされています。「氾濫原環境」とは、川が氾濫して周辺が水浸しになったり、雨が降らずに流れが途切れてたくさんの池になったりと、絶えず攪乱が起きる不安定な湿地環境のことです。

治水工事が行われる以前の濃尾平野は長良川、木曽川、揖斐川がはっきり三川に分かれておらず、網目のような細流と砂州で覆われ、絶えず川の流路が変化し砂地が更新されていました。私たちにとっては困る度重なる川の氾濫もいきものにとっては必要な自然現象と考えられます。

アクア・トトぎふで展示されている氾濫原環境のイメージ
イタセンパラが生息しやすい「氾濫原環境」のイメージ展示。今も木曽川にわずかながらに残る風景。(©️SAKURA編集部)

未来への期待を込めて続けられる保護・増殖活動

多様な遺伝子を残す大切さは魚に限らず、昆虫や鳥、動物など、いきもの全てに当てはまります。いきものの世界は、ある命がえさとなり、他の命を支え、その命もまた他を支えるというように命をつないで成り立っています。

気になるいきものを見かけたら「この暑さを乗り越えられるかな」「この場所にいて何を食べているのかな」と想いを寄せてみてはいかがでしょうか。「アクア・トト ぎふ」には身近ないきものも豊富に展示されています。懸命に生きる姿を見て、季節や自然を生活の一部として感じ、命のつながりを考えてみることが自然や地球を守ることのはじめの一歩になるからだそうです。

イタセンパラに限らず、「命」のつながりは身近な場所にあります。虫や植物を見て命のつながりに思いを馳せてみてください。

アクア・トトぎふのの館長池谷さん
アクア・トト ぎふ 館長 池谷幸樹さん(©️SAKURA編集部)

「アクア・トト ぎふ」館内をご紹介

木曽三川・長良川の源流から河口まで、世界の淡水魚をテーマにした淡水魚水族館。展示は自然環境が再現されています。同館では、絶滅危惧種を保全する取り組みが評価され、2021年に「野生生物保護功労者表彰」の環境大臣賞を受賞されています。
館内は大きく、長良川、アジアの川、世界の川に生息する淡水魚が展示されています。身近な川からアマゾン川まで、多種多様な淡水魚を見て、学ぶことができます。全館バリアフリー、車イスやベビーカーでの移動も可能です。

【長良川源流〜上流】

アクア・トトぎふの長良川の源流風景
水族館のスタートエリアは自然光が入り、渓谷や滝が再現されています。長良川の流域の環境を体に感じながら進んでいきます。(©️SAKURA編集部)
アクア・トトぎふの長良川のイメージ展示
滝壺が再現された水槽で魚が泳いでいます。自然の風景を切り取ったかのような展示が続きます。(©️SAKURA編集部)

【中流〜河口】

アクア・トトぎふで展示されている長良川中流域の展示
懐かしい風景が広がるエリア。身近ないきもの、希少淡水魚のほか、イタセンパラの特別展示もここで行われます。(©️SAKURA編集部)

【アジアの川】

アクア・トトぎふのアジアの川の展示エリア
日本と中国、東南アジアの淡水生物が展示されています。(©️SAKURA編集部)
アクア・トトぎふのメコン川淡水環境研究所エリア
日本とアジアの淡水生物を研究している「メコン川淡水環境研究所」。研究道具にも興味が湧きます。(©️SAKURA編集部)

【世界の川】

アクア・トトぎふのアフリカ・タンガニーカ湖水槽
アフリカ大陸にある、2千万年前の地殻変動によってできた「タンガニーカ湖」で泳ぐ魚たち。(©️SAKURA編集部)
アクア・トトぎふのアマゾン川エリア
南米を流れる世界最大の大河、アマゾン川に生息するいきものを展示。ピラルクーはここにいます。
(©️SAKURA編集部)
アクア・トトぎふで飼育されているメコンオオナマズ
人気者 メコンオオナマズ【アクア・トト ぎふでの飼育歴19年】開館時からいる人気者。メコン川に棲み、寿命は60年。すぐに滅ぶことはありませんが、今「命」をつながなければ、60年後にはいなくなる可能性があります。学術調査委員会で毎年、飼育報告が行われています(画像提供:アクア・トト ぎふ)

体験しながらいきもののこと、水族館のことをもっと知ってみよう

清流ふれあいプール

長良川に生息する魚たちが泳ぐプール。実際にふれながら、魚たちの体や色をじっくり観察することができます。ごはんを購入することもできます。

アクア・トトぎふのの清流ふれあいプール
ウグイやオイカワなどがいます。ごはんをあげて食べる様子も観察してみよう(画像提供:アクア・トト ぎふ)
世界淡水魚園水族館
アクア・トト ぎふ

アクアトトぎふ

岐阜県各務原市川島笠田町1453
アクセス:【車】東海北陸自動車道「川島P.A. ハイウェイオアシス」隣接

0586-89-8200
9:30〜18:00(平日は17:00まで)
 ※入館は閉館1時間前迄 ※時期により変動
河川環境楽園に準じる
入場料 大人 1,780円/中高生 1,400円/小学生 900円/幼児(3歳以上) 500円
有(無料)
https://aquatotto.com/


この記事を書いた人

SAKURA編集部_Akiko.Iです!地元の美しい風景、四季の移り変わり、ワクワクなイベントを探求、発掘していきます。


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