樽見鉄道の車内で精進料理を味わい、根尾の浄土真宗寺で節談説教を聴く『ほんこさん列車』
樽見鉄道の車内で精進料理を味わい、終点の樽見駅近くにある浄土真宗、北野山専念寺で節談説教(ふしだんせっきょう)を聴くイベント「ほんこさん列車」が6月9日(日)にありました。
過疎地の本巣市根尾地域に訪れる観光客を増やし、地域の活性化に役立てようと、樽見鉄道と専念寺などが共同して企画した初めてのイベント。
浄土真宗の宗祖、親鸞聖人の命日を縁として営まれる法要のことを「報恩講」と言います。報恩講では真宗の寺と檀家がお互いに、地元で取れた野菜中心の精進料理を振る舞います。それを報恩講料理と呼んでいます。
樽見鉄道の終点樽見駅がある根尾地域は昔、福井県の越前と岐阜県の美濃の文化交流の要。専念寺は福井県鯖江市にある浄土真宗誠照寺派の誠照寺を本山とする縁があります。福井弁で報恩講は「ほんこさん」と言われていることから、今回、「ほんこさん列車」というイベント名が付けられました。
県内外から18人が参加
岐阜県と愛知県から計18人が参加しました。羽島市から妻、義理の母と一緒に訪れた男性は「樽見鉄道には初めて乗車する。報恩講料理がどのようなものか、食べるのが楽しみ」と話しました。
大垣駅を出発すると、車内でアテンダントの樽見鉄道企画営業課、河瀬七留美さんが料理の説明や鉄道の紹介など詳しく案内してくれました。
イベントをすることで、根尾地域を活性化したい思いが多くの人に伝われば。
ヘルシーな報恩講料理に舌鼓 呉汁も味わう
参加者たちは早速、テーブルに置かれた報恩講料理を味わいました。福井県と専念寺がある本巣市根尾地域の報恩講料理を混ぜ合わせたメニュー。サツマイモの天ぷら、ダイコンの煮物、豆腐、ナス田楽、湯葉、刺身コンニャクなどヘルシーなおかずが、ぎっしりと入っていました。
福井特産の厚揚げもありました。すり潰したコクのある大豆を味噌汁に溶かした「呉汁(ごじる)」は、豊富なたんぱく質があります。
参加者は苗が植えられた田んぼや柿の木など、車窓に広がるのんびりとした田園風景を目にしながら、料理を堪能していました。
車窓から見える大自然
列車は次第に山あいに進み、日当(ひなた)駅ではホーム脇に生える、瑞々しいアジサイが迎えてくれました。
根尾川の渓谷に架かるいくつも鉄橋からは、ダイナミックな景色が見ることができました。1時間で終点の樽見駅に到着。バスに乗り換えて、数分で専念寺に着きました。
名刹専念寺で真宗固有の節談説教を聴く
専念寺は 1436(永享8)年に創設。1583(天正11)年、越前の戦乱から温見に逃れ、その後、根尾の地に移りました。1688(元禄元)年には大垣藩主戸田家の位牌所となりました。同じ真宗誠照寺派の西福寺支坊(岐阜市村山)の波多野瑞雄師は法話を、専念寺の北野常然副住職は真宗固有の節談説教で、それぞれ参加者に真宗の教えを説きました。
節談説教は言葉に節(抑揚)を付けて、ゼスチャーで演技的な手法を取り、演劇のように説きます。語り口の芸能性の高さから、講談や落語などそれぞれの話芸の元となったそうです。説教者は高さ1メートル余りある高座の上から説教します。終戦後は廃れていき、現在では節談説教ができる僧侶は少ないそうです。
参加者を魅了した説教
北野副住職は、漫談を見ているかのようなユーモアあふれる話芸を披露し、参加者を引き込みました。参加者の一人は「初めて節談説教を聴き、感動しました。大変面白く、また機会があれば聴いてみたいです」と話しました。サービス精神旺盛な北野副住職は「いつでも寺を見学に来てください。お時間が合えば、お話したいです」と話されていました。
ヘルシーな精進料理の報恩講料理を頂き、緑に囲まれた根尾の澄んだ空気にスッキリ。そして由緒ある寺で説教を聴いて慈悲に触れました。貴重な体験をすることができ、心身ともリフレッシュすることができた旅となりました。
樽見鉄道
タルミテツドウ
岐阜県本巣市曽井中島680-11
問/樽見鉄道
0581-34-8039
https://tarumi-railway.com/
専念寺
センネンジ
岐阜県本巣市根尾東板屋741-1
この記事を書いた人
SAKURA編集部の_Gouji.Nです。
高校野球などスポーツ観戦やお笑い、ラーメンが大好きです。愛する地元岐阜を駆け巡って、読者の皆さんに楽しい話題をお届けしたいです!
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